九頭竜大社からのお知らせ
2022年3月2日 公式ブログ
十一番だけが出ないのです
ある日のことです。月参りをなさり、毎月必ず1ヶ月間の御祈祷をお受けになる会社経営の男性〇〇さんがお越しになりました。〇〇さんは9回まわるお千度をなさって社務所に戻ってこられると、必ず火鉢のそばの椅子に座られてしばらく佇まれます。
お声がけするとこんなお話になりました。
「私は去年9年に一度巡ってくる八方塞がりの歳で、正浩さんにご本殿でお祓いをしていただいたでしょう。お蔭で無事に一年を乗り越えることが出来ました。」
「それはよかったです。」
「少したいへんだなと思う時期はありましたよ。慎重に過ごすべき年回りなのに、今までになかったような仕事も入ってきたりいたしました。でも、自分の意思を強く出し過ぎないようにして、うまく流れに任せて乗り越えることが出来たように思います。」
「〇〇さんはお千度の後、いつもこの場所に座られて佇まれますね。」
「そうなのですよ。いつも仕事が本当に忙しくて日々いろいろなことがあるのですけれども、月に1回、九頭竜大社のお千度を終えてここでこうやって掲示板を眺めながら過ごすひと時、これがほっとするのです。月に一度の、大切な時間なのです。」
「ああ、そうでいらっしゃるのですね。」
「私は正浩さんのご著書を愛読させていただいているのですよ。『九頭竜大社の教え』。あの本をね、仕事机の上にいつも置いて、何度も何度も読ませていただいているのです。もともとカァーとなりやすい性格なのですが、あの本を読んで「ああ、腹を立てたら負けだ。」と。「明るく穏やかに、自然に帰らねば。」と。指針にさせていただいております。」
「それはまことに光栄なことです。ありがとうございます。」
「正浩さん、不思議だなぁと思っていることがあって…ちょっと聞いていただいてよろしいですか?」
「はい。どのようなことですか。」
「私、九頭竜大社に月参りをさせていただくようになって…実は回数を数えているのです。もう九頭竜大社に90回近くお参りさせていただいていて、月参りのたびに必ずおみくじを引いているのです。大神様のお言葉をひと言でいただくあのおみくじですね。」
「そうなのですね。」
「私は引いたおみくじはすぐにお返しせずに、次のお参りまでの1ヶ月間、仕事カバンの中に入れて、心の支えにしたり戒めにしたりしているのです。月参りの時に古いお札入れの中にお返しして、新たにおみくじのお言葉をいただいて、またカバンの中に入れて1ヶ月間を過ごすのです。本当にその時々にふさわしいお言葉を大神様からいただいています。」
「なるほど。そのようになさっているのですね。」
「ただ、どうしても家におみくじの一番から十二番までをすべて揃えたくて、一枚ずつは家に置いているのです。それで気付いたのですが…私、90回近く月参りをして毎回おみくじを引かせていただいて、ある番号だけ1回も出たことがないのです。」
「へぇ。何番なのですか?」
「十一番。」
「「まだまだ念た足りぬ」。出ませんか、あのお言葉。」
「ええ、そうなのです。だから十一番が出ないかなぁ、と。あと十一番だけ出たらおみくじの一番から十二番まで全部揃うのです。おみくじが全部揃ったら、額に入れていつも見るところに飾ろうかと思っているのです。だからここ数ヶ月は十一番出ないかなぁ、と思いながらおみくじを引いていたのです。今日もね、違いました(笑)」
「あははは(笑)あはは(笑) 十一番が出るように念じておみくじを引かれているとは(笑)「まだまだ念が足りぬ」をね。そのようなお話は初めて聞きましたね(笑)」
「そうですか!十一番だけが出ないのです。あと十一番が出ればと。いろいろお話しさせていただきありがとうございます。今日もよいお参りをさせていただきました。」
こちらこそ素敵なお話をお聞かせくださりありがとうございます。
それにしても十一番だけが出られないとは。よほどよい姿勢で生活され、大神様に向き合っておられるのですね。
そして、きっと最もよきタイミングで、十一番をいただかれるのだと思います。
毎月のお参りをお待ち申し上げております。