九頭竜大社からのお知らせ
2022年9月27日 公式ブログ
心静かに我を交えずに
「おはようございます。」
「ああ、〇〇さん、おはようございます。」
〇〇さんは月に何度もお参りなさる男性です。9回まわるお千度をなさった後に、社務所で私にお話しくださいました。
「正浩さん。私先日、とある場所に滝行に行ってきたのですよ。九頭竜大社では特に滝行のようなことを推奨なさっているわけではないですよね。でもやってみたらすごく気持ちよかったですよ。」
「ああ、そうでいらしたのですね。私は滝行をしたことはないのですが、どのような気持ちになられるものなのですか?」
「滝に打たれている時というのはね、何も考えられないのです。」
「何にも考えられない。無の状態ですか。」
「あえて考えているとしたら、自分の身の安全ですよね。足元に苔がむしていることも多いですから滑ってはいけない。そしてバランスですね。上から頭にすごい水圧がかかってくるものですからバランスを崩してしまったら転倒しかねません。」
「自分の身の安全やバランスに留意されて、何も考えられない状態で滝に打たれていると、どのような感覚になってゆかれるのですか?」
「目耳鼻舌身意、諸々のすべての不浄が洗い流されてゆきます。数分間滝に打たれていると、自身が自然と一体化してゆきます。本当にそんな感じになるのです。」
「なるほど。」
「九頭竜大社のご本殿の裏のお滝はとても穏やかで清らかですね。滝行をするという感じではないと思います。それに九頭竜大社では、普段の生活や素直に神様にお参りするなかで、人として自然な姿に帰ってゆくことを大切に考えられていますよね。正浩さんのご著書を拝読しております。でも正浩さん、たまにでしたら滝行、いいかもしれませんよ。一度どこかでやってみられたらいかがですか。」
「まあ、それは、いつか機会がございましたら。」
「滝行とは少し話が異なりますが、私、月に何度も九頭竜大社にお参りしているでしょう。大神様に向き合ってお祈り申し上げる時に、やはり雑念が交ってはダメなのですよ。心静かに、出来る限り我を交えずに大神様に向き合えるといい感じなのですね。」
「ああ、そうなのですね。」
「でも、比較的お参りの方が少ない日だろうと思って平日に来ても、案外人が多い時もあります。稀に何らかの行事に当たる時もある。それは仕方のないことです。だからそこは工夫をします。どのような状況でも、心静かに雑念なく、我を交えずに大神様に向き合うために、自分自身の行動や心の持ち方を工夫しているのです。そういう工夫はとても大切なことだと思っています。」
「九頭竜弁財天大神様は千人万人無限に人を救う奇蹟の神様ですから、境内にたくさんの人達がお参りされているかお一人だけでお参りされているかに関わらず、お一人おひとりの祈りや思いを必ずお聞きくださっています。おっしゃる通り雑念や我を交えない祈りは、より大神様に通じてゆきます。そのためにご自身で工夫をなさっているのですね。素晴らしいことだと思います。」
いろいろと興味深いお話をありがとうございました。
九頭竜弁財天大神様の守り導きのもと、幸いに歩まれますように。
書籍『九頭竜大社にお参りする人達から聞いた50の素敵なお話』